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iDeCoとは?-制度内容や加入できる人、税制優遇の内容を解説-

社会保障制度 2024-06-20

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、国民年金や厚生年金といった公的年金に上乗せする老後資金を準備するための私的年金制度です。

iDeCoを活用することで、掛金の全額所得控除や運用益の非課税など、税制面でのメリットを受けながら、老後資金を準備できます。

今回は、iDeCoの制度内容や加入対象者、掛金の拠出限度額、運用商品の種類と特徴、3つの税制優遇について解説します。​​​​​​​​​​​​​​​​

iDeCo(個人型確定拠出年金)の基礎知識

iDeCoは、加入者自身が掛金を拠出し、投資信託や生命保険、定期預金などで運用をして、老後に向けた資産形成をする制度です。

iDeCoで積み立てた資産は、60歳以降に「老齢給付金」として受け取ることが可能です。運用成績次第で、老齢給付金の受取額は変動します。

老齢給付金の受取方法は、年金受取と一括受取、あるいはその両方を選択できます。

開業医にとってのiDeCo

開業医にとって、iDeCoは積極的に活用したい制度です。

日本の公的年金は、1階部分の国民年金と2階部分の厚生年金から構成されています。個人事業主の開業医が加入するのは国民年金のみですが、勤務医は厚生年金にも加入しています。

国民年金のみに加入する期間が長くなるにしたがって、同じ期間、厚生年金にも加入していた勤務医よりも、老後に受け取れる年金額は少なくなっていきます。

開業医がiDeCoに加入して掛金を拠出すれば、老後の年金受取額を増やすことが可能です。国民年金のみの加入で少なくなった公的年金の不足分を補えるため、より安定した老後の生活を送りやすくなります。

iDeCoに加入できる人

iDeCoに加入できる人は、以下の通り国民年金の被保険者である人です。

   国民年金の被保険者区分                  加入対象となる方  
 第1号被保険者 20歳以上60歳未満の自営業者とその家族、フリーランス、学生など
 第2号被保険者 厚生年金の被保険者(会社員、公務員など)
 第3号被保険者 厚生年金の被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者
 任意加入被保険者 ・国民年金に任意で加入した方
 ・60歳以上65歳未満で、国民年金の保険料の納付期間が480月に達していない方
 ・20歳以上65歳未満の海外居住者で、国民年金の保険料の納付が任意加入期間内が
  480月に達していない方

※出典:iDeCo公式サイト「iDeCoってなに?

一方で、国民年金保険料を払っていない人や65歳以上で老齢年金の受給権を有する人、農業者保険の被保険者などは加入できません。

iDeCoの掛金の拠出上限額

iDeCoの掛金は、最低月額5,000円から1,000円単位で設定できます。掛金の上限額は、以下の通り国民年金の加入者区分ごとに決められています。

     国民年金の被保険者                   拠出限度額     
 第1号被保険者
 (自営業・個人事業主など)
 月額6.8万円 ※国民年金基金・国民年金付加保険料との合算
 第2号被保険者
 (会社員・公務員など)
 ・勤務先に企業年金がない人:月額2.3万円
 ・企業型DCのみに加入する人:月額2.0万円
 ・DBと企業型DCに加入する人:月額1.2万円
 ・DBのみに加入している人:月額1.2万円
 ・公務員:1.2万円
 第3号被保険者
 (専業主婦(夫))
 月額2.3万円

※出典:iDeCo公式サイト「iDeCoってなに?

※1:企業型DCとは、企業型確定拠出年金のこと

※2:DBとは、確定給付企業年金(DB)、厚生年金基金、石炭鉱業年金基金、私立学校教職員共済など

※3:企業型確定拠出年金(企業型DC)のみに加入する場合

月額5,5千円=各月の企業型DCの事業主掛金額(ただし、月額2万円を上限)

※4:企業型DCとDBの両制度に加入する場合

月額2.75万円=各月の企業型DCの事業主掛金額(ただし、月額1.2万円を上限)

同じ開業医でも、個人事業主の場合、iDeCoの掛金上限額は月額6.8万円ですが、医療法人の理事長の場合は最大で月額2.3万円となります。

また、個人事業主の開業医が、老後の年金受給額を増やすために、国民年金基金の掛金や国民年金付加保険料を支払っている場合、iDeCoで拠出できる掛金は減ります。

iDeCoで選べる運用商品の種類と特徴

iDeCoの運用商品には、元本確保型商品と投資信託があります。

元本確保型は、定期預金や保険商品などです。元本保証があり、高い安全性がある一方で、あまり高いリターンは期待できません。

投資信託は、投資家から集めた資金を1つにまとめて、運用のプロが国内外の株式や債券などで運用する仕組みの金融商品です。

投資信託にはリスクがあり、元本割れが生じる可能性がある代わりに、元本確保型の商品よりも高いリターンが期待できます。

iDeCoの3つの税制優遇

iDeCoには「掛金が全額所得控除」「運用益は非課税」「受取時も一定額まで税制優遇」といった3つの税金メリットがあります。

ここでは、iDeCoに加入することで得られる3つの税金メリットを1つ紹介します。

掛金の全額が所得控除

iDeCoの掛金は、全額が所得控除の対象となるため、1年間で支払った掛金と同じ金額がその年の所得から控除されます。

たとえば、iDeCoで毎月6万円の掛金を支払うとしましょう。この場合、1年間の合計掛金額である72万円が、その年の所得から控除されて、税額が計算されます。

所得控除により、課税の対象となる所得金額が減ることで、所得税や住民税の負担が軽減されます。

開業医は、一般的な会社員や公務員の方と比較して所得水準が高いため、税負担も重くなりやすいです。iDeCoに加入することで、所得控除により税負担を抑えながら、将来に向けた資金作りができます。

運用益は非課税

預貯金の利息や投資信託の運用益などには、通常は20.315%の税金がかかります。

一方、iDeCoであれば掛金の運用先から利益や運用益が生じても、税金はかかりません。

たとえば、運用益が20万円である場合、本来であれば課せられる税金分の約4万円が非課税となります。

老齢給付金の受取時も税制優遇が受けられる

iDeCoの老齢給付金を一括(一時金)で受け取ると、退職所得控除の対象となります。退職所得控除の金額は、以下の通りiDeCoの加入期間に応じて決まります。

 加入期間 退職所得控除額
 20年以下 40万円 × 加入期間 (80万円に満たない場合は80万円)
 20年超 800万円 + 70万円 × (加入期間 – 20年)

たとえば、iDeCoに加入した期間が10年である場合、一括で受け取った老齢給付金のうち「40万円×10年間=400万円」まで税金がかかりません。

また、所得税の課税対象となるのは、老齢給付金の受取額から退職所得控除を差し引いた残りの2分の1であり、税金が重くなりすぎないよう配慮されています。

老齢給付金を分割(年金)で受け取った場合は「公的年金等控除」の対象です。年齢や公的年金等の収入金額に応じた一定金額が控除されるため、所得税や住民税の負担が軽減されます。

なお、年金で受け取った老齢給付金と、公的年金等の雑所得扱いとなる他の収入金額(例:国から支給される老齢年金)を合算した金額から、公的年金等控除額は差し引かれます。

老後資金を準備する際はiDeCoの活用を

iDeCoに加入し、掛金を拠出して運用することで、老後に向けた資金準備ができます。また、掛金の全額所得控除や運用益の非課税などの税制優遇を受けることも可能です。

とくに、厚生年金に加入しない個人事業主の開業医にとって、老後の年金資産を積み立てられるiDeCoは重要な制度といえます。


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