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開業医の老後資金はいくらかかるのか?~必要資金額の考え方や準備方法を解説~

老後生活の分野 2024-06-20

開業医は、一般的に高収入です。しかし、勤務医とは異なりリタイア時に退職金は支給されないため、老後資金のほとんどを自助努力で用意しなければなりません。

また、リタイア後も現役時代と同じ水準の生活を維持しようとすると、毎月の支出も多くなりやすいです。そのため、開業当初からライフプランを立て、老後に向けて計画的に積み立てることが重要です。

今回は、開業医に必要な老後資金の考え方と、準備に活用できる保険商品を解説します。

開業医の老後資金はいくら必要なのか

では、開業医の老後資金はいくら必要なのでしょうか。ここでは、老後の必要資金額の基本的な考え方と、開業医の必要資金が高額になりやすい理由を解説します。

老後に必要な資金の基本的な考え方

老後生活に準備すべき資金を計算する際は「a.リタイア後の生活資金」と「b.リタイア後の収入予定額」を考える必要があります。それぞれに該当する項目は、以下の通りです。

                                 該当する資金
 a.リタイア後の生活資金
 (老後の支出をもとに計算)
 ・生活資金:食費・水道光熱費などの生活費
 ・住宅資金:家賃や老人ホームの月額利用料 ※ローン関連費は除く
 ・住宅ローン返済:ローン返済額・繰上返済資金
 ・保険料:生命保険料・個人年金保険料
 ・子ども関連費:教育費・結婚/住宅取得援助費用
 ・税金・社会保険料
 ・その他の支出
 b.リタイア後の収入予定額
  (老後の収入をもとに計算)
 ・勤労収入
 ・退職金
 ・公的年金:老齢基礎年金・老齢厚生年金
 ・私的年金:個人年金・企業年金
 ・その他の収入

上記の「b.リタイア後の収入予定額」から「a.リタイア後の生活資金」を差し引いて求める「不足資金」が老後に向けて準備すべき資金額の目安となります。

また、リタイア後の生活資金や収入予定額を算出するためには「老後生活が何年なのか」も考えなければなりません。

たとえば、65歳でリタイアをするとしましょう。厚生労働省が発表する「令和4年簡易生命表の概況」によると、65歳の平均余命は男性19.44歳、女性24.30歳です。

※出典:厚生労働省「令和4年簡易生命表の概況

平均余命を目安に考えると、老後生活は20〜25年となります。

老後の必要資金額の計算例

仮に、老後生活が25年であるとしましょう。老後生活の支出が年間600万円、収入が年間200万円である場合、リタイア後の生活資金や収入予定額、不足資金額は以下の通りです。

  1. リタイア後の生活資金:600万円×25年=1億5,000万円
  2. リタイア後の収入予定額:200万円×25年=5,000万円
  3. 不足資金額:1億5,000万円-5,000万円=1億円

このケースの場合、不足資金額の1億円が老後に向けて資金準備をする際の目標金額の目安となります。

なお、より厳密にリタイア後の生活資金や収入予定額を求めるときは、ライフプラン表を作成して年間収支を1年ごとに計算し、平均余命まで生存するものとしてそれらを累計します。

開業医の老後資金は高額になりやすい

開業医の場合、収入が高い分、生活水準も高い傾向にあります 。老後も、現役時代と同程度の生活水準を維持しようとすると、毎月の支出が一般的な家庭よりも高額になります。

とくに、設備やサービスなどが充実した老人ホームに入居すると、利用料金が高額になり毎月の支出が増えやすいのです。

一方で開業医の場合、個人事業主であった期間が長くなると、>老後の収入が少なくなる可能性があります。

個人事業主であるあいだは、国民年金にしか加入しないためです。

勤務医の場合は、国民年金だけでなく厚生年金にも加入します。また、開業医であっても法人成りをして理事長に就任したのであれば、厚生年金に加入することが可能です。

厚生年金に加入する期間が長ければ長いほど、老後に受給できる公的年金の額は増えていきます。

逆をいえば、個人事業主であり国民年金のみに加入する期間が長いと、老後の年金受給額が少なくなるということです。

また、開業医は勤務医と異なり、退職金に相当する資金も自分自身で計画的に積み立てていかなければなりません。

以上の点により、開業医が自助努力で準備すべき資金額は1億円を超えるケースも多々あります。余裕のあるリタイアメントライフを過ごすためには、早い段階から貯めるべき老後資金の目安を考え、計画的に準備していくことが重要です。

開業医が老後に向けた資産形成に活用できる商品

老後に向けた資産形成に活用できる商品にはさまざまな種類がありますが、中でも代表的なのが「個人年金保険」や「投資信託」です。

ここでは、個人年金保険や投資信託の主な特徴をご紹介します。

個人年金保険

個人年金保険に加入すると、契約時に決めた年齢に達したときから、一定期間または一生涯にわたって年金を受け取れます。

また、個人年金保険の保険料は「生命保険料控除」という所得控除の対象です。

1年間で支払った保険料に応じた一定金額が、その年の所得から差し引かれるため、所得税や住民税の負担を軽減しながら、老後資金を準備できます。

年金を受け取る前に被保険者(保険の対象者となる人)が亡くなった場合、残された家族は死亡給付金として支払った保険料相当額を受け取れます。

相続人が死亡給付金を受け取ると、相続税の非課税枠「500万円×法定相続人の数」を適用することで、一定額まで相続税がかかりません。

個人年金保険には、加入時に将来受け取る年金額が確定する「定額個人年金保険」と、保険料を運用し、その実績に応じて年金額が増減する「変額個人年金保険」があります。

たとえば、安定性を重視する人は定額個人年金保険を、リスクを取ってでも積極的に年金額を増やしたい人は変額個人年金保険を選ぶと良いでしょう。

投資信託

投資信託は、個人の投資家から資金を集め、運用のプロが株式や債券などに投資・運用する金融商品です。

投資信託であれば、資金の投資先の選定や管理などを運用のプロに任せられるため、投資の知識や経験が自信のない方でも始めやすいといえます。

分散投資がしやすいのも、投資信託の特徴です。集められた資金は、商品(ファンド)の運用方針にしたがって、株式や債券など値動きが異なるさまざまな資産に投資されるため、価格が変動するリスクを軽減する効果が期待できます。

また銘柄によっては、iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)といった制度を利用することも可能です。

  • iDeCo:掛金を投資信託や保険などで運用し、老後資金を準備する私的年金制度
  • NISA:投資で得られた利益(売却益・分配金など)に税金がかからない制度

これまで金融商品に投資をしたことがない方は、資金の運用をプロに任せることができ、iDeCoやNISAも活用しやすい、投資信託を選ぶのも1つの方法です。

開業医はリタイア後の生活に向けた計画的な資金準備が必要

開業医の方々は、収入が高い傾向にあるとはいえ、リタイア後の生活に向けた資産形成が不要なわけではありません。

老後の必要資金額が1億円を超えることもあるため、早いうちから計画を立てて準備を進めることが大切です。

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