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自動車保険とは?-補償内容や保険料の決まり方を解説-

保険商品 2024-11-08

自動車保険は、交通事故によって生じた損害を補償する保険です。強制加入の「自賠責保険」と加入の判断が個人に任されている「任意保険」の2種類があります。

今回は、自動車保険の種類や補償内容、保険料の決まり方、付けられる特約を解説します。

自動車保険の基礎知識

まずは自賠責保険と任意保険の基本的な内容を解説します。

自賠責保険は強制加入の自動車保険

自賠責保険とは、自動車損害賠償責任保険のことです。

交通事故による被害者救済を目的に、すべての自動車および原動機付自転車には、自賠責保険の加入が法律で義務付けられています。

自賠責保険で補償されるのは、事故相手のケガや死亡による損害のみです。相手方が所有するモノの損害や運転者自身と同乗者のケガ、事故を起こした車の損害などは補償の対象外となります。

保険金の支払限度額は、以下の通りです。

  • 死亡による損害:被害者1名につき最高3,000万円
  • 後遺障害による損害:被害者1名につき最高4,000万円
  • 傷害による損害:被害者1名につき120万円

自動車を運転するためには必ず自賠責保険に加入しなければなりません。

加入しないまま車で走行することは法律違反であり「50万円以下の罰金または1年以下の懲役」と「違反点数6点、免許停止処分」といった重い処分が下されます。

任意保険は任意加入の自動車保険

任意保険は、自賠責保険では補償されない範囲をカバーするために加入する保険です。

自賠責保険と同様に事故相手のケガや死亡、後遺障害を補償しますが、補償額は無制限に設定できるため、より高額な損害賠償に備えられます。

また、自賠責保険では補償されないモノの損害や同乗者のケガ・死亡・後遺障害、運転していた車の損害などもカバーすることが可能です。

任意保険であれば事故時に高額な賠償リスクに備えられるため、自動車を運転する人の多くが加入しています。

任意保険の補償内容

任意保険の主な補償には「対人賠償保険」「対物賠償保険」「人身傷害保険」「搭乗者傷害保険」「車両保険」があります。

ここでは、任意保険の基本的な補償を解説します。

対人賠償保険

対人賠償保険は、交通事故で他人を死傷させたときの法律上の損害賠償責任を補償するものです。

契約時に設定した保険金額を上限として、実際の損害額のうち、自賠責保険の補償限度額を超える部分がカバーされます。

対人賠償保険の補償対象となるケースの例は、下記の通りです。

◯対人賠償保険の補償対象となるケースの例

  • 運転を誤り、歩行者をはねて死亡させてしまった
  • 交差点で出合い頭に衝突し相手にケガをさせた
  • 車線変更時に他車と接触し、相手車両に乗っていた人がケガをした

保険金の支払額は、事故によって生じた相手への治療費、精神的苦痛に対する慰謝料などをもとに決まります。また、治療費や慰謝料などは、双方の過失割合(事故の当事者にどれほどの責任があるかを示す割合)にもとづいて判断されます。

自動車事故により事故相手にケガを負わせたり、相手を死亡させてしまったりしたときは、高額な損害賠償金を請求されるかもしれません。

そのため、対人賠償保険の保険金額は多くの方が無制限に設定しています。

対物賠償保険

対物賠償保険は、他人の財物(モノ)を壊したときの損害賠償金を補償するものです。

事故相手が所有する車や家屋、自転車、電柱、塀などへ損害を与え、法律上の損害賠償責任を負ったときに補償が受けられます。補償が受けられるケースの例は、下記の通りです。

◯対物賠償保険の補償が受けられるケース

  • 不注意で停車中の車にぶつかってしまった
  • 電柱やガードレールに衝突して破損させてしまった
  • 走行中のタクシーと衝突してしまった

保険金の支払額は、契約時に定めた保険金額を上限として事故の過失割合に応じて決まります。保険金額は、対人賠償責任保険と同様、多くの方が無制限に設定しています。

人身傷害保険

人身傷害保険は、交通事故によって運転者自身や同乗者がケガをした場合の治療費や働けないあいだの収入などを補償するものです。事故相手方からの賠償の有無や過失割合にかかわらず、実際の損害額が補償されます。

契約時に決めた保険金額を限度に、保険会社が定める基準にしたがって計算された損害額と同額の保険金を受け取ることが可能です。

また、事故相手との示談交渉の結果を待たずに保険金が支払われます。

搭乗者傷害保険

搭乗者傷害保険は、交通事故で運転者自身や同乗者がケガなどをしたときに、定額の保険金が支払われる補償です。

入院や通院の日数に応じて支払われる医療保険金や、後遺障害の程度に応じて支払われる後遺障害保険金、亡くなった場合の死亡保険金などがあります。

前述の人身傷害保険と同じく、契約車両に乗っている人が補償の対象ですが、保険金の支払われ方が異なります。

人身傷害保険は実際の損害額が支払われるの「実損払い」であるのに対し、搭乗者傷害保険は契約をするときに定められた金額が支払わる「定額払い」です。搭乗者傷害保険の場合、過失割合によって保険金の受取額が変わることはありません。

車両保険

車両保険は、自分自身が運転する車の損害を補償します。交通事故や災害、盗難などで補償対象の車両が損害を受けたとき、契約時に決めた保険金額を上限として実際の損害額が支払われます。

車両保険の保険金額は、車の時価相当額です。保険会社が算出をするため、契約者自身が決めるわけではありません。

車両保険には「一般型」と「限定型(エコノミー型・車対車+A)」の2種類があります。

限定型は、一般型よりも補償範囲が狭く自損事故や歩行者・自転車、電柱、ガードレールとの衝突など※が補償されません。その代わり、保険料は割安です。

※保険会社によって補償範囲は異なります

車の使用頻度や走行距離、利用目的などをもとに車両保険の種類を選ぶことが大切です。

自動車保険(任意保険)の保険料の決まり方

任意保険に加入する場合は、保険料を支払う必要があります。

ここでは、任意保険の保険料に影響する要素のうち「ノンフリート等級」「運転者の年齢や範囲」について解説します。

ノンフリート等級

ノンフリート等級は、運転する人の事故歴を保険料に反映させるための制度です。

1等級から20等級まであり、1〜4等級になると保険料に所定の割増率が、5〜20等級の場合は割引率が適用されます。等級が上がるほど、任意保険料は安くなっていく仕組みです。

初めて任意保険に加入する場合、通常は6等級からスタートしますが、複数の車を所有している場合は、7等級からのスタートとなることがあります。

任意保険に加入後、1年間無事故であると翌年に1等級上がりますが、事故を起こし「3等級ダウン事故」「1等級ダウン事故」に該当すると、翌年の等級が下がります。

一方「ノーカウント事故」に該当すれば、翌年に等級は下がりません。

それぞれに該当する事故は下記の通りです。

                       該当する事故の例
 3等級ダウン事故 事故相手をケガさせて対人賠償保険の保険金を請求した
 相手のモノを壊して対物賠償保険の保険金を請求した
 1等級ダウン事故 車両の盗難や落書きなどで契約車両が損害を負い車両保険のみを使った
 ノーカウント事故 運転者自身や同乗者がケガをして人身傷害保険や搭乗者傷害保険のみを使った

また、任意保険を使ったことで等級がダウンすると「事故有係数」が適用され、無事故の場合と比較して割引率が基本的に低くなります。

事故有係数が適用される期間は、3等級ダウン事故の場合は3年間、1等級ダウン事故では1年間です。

型式料率クラス

型式料率クラス(以下、料率クラス)は、事故にあうリスクを自動車の型式ごとに数字で表したものです。自動車の性能や形状、構造、運転する人などで事故にあうリスクに差がみられるため、それを保険料の計算に反映させるために設けられています。

保険料を算出する際に型式料率クラスが用いられるのは、自動車保険の契約車両が以下のいずれかであるときです。

  • 自家用普通乗用車:大型セダンや大型ミニバン、大型SUVなど
  • 自家用小型乗用車:コンパクトカーや小型ミニバン、コンパクトSUVなど
  • 自家用軽四輪乗用車:軽自動車

自家用普通乗用車と自家用小型乗用車は1〜17までの17段階、自家用軽四輪乗用車は1〜3の3段階(2025年1月1日以降は1〜7の7段階)に分けられています。

事故にあうリスクが高い車ほど、料率クラスの数字が大きくなり、保険料は上がっていく仕組みです。

また料率クラスは「対人賠償保険」「対物賠償保険」「人身傷害保険および搭乗者傷害保険」「車両保険」ごとに定められています。

料率クラスを算出するのは損害保険料率算出機構です。最新の事故状況を保険料に反映させるため、料率クラスは損害保険料率算出機構によって毎年1月に見直されています。

運転者の年齢や範囲

任意保険では、補償の対象となる運転者の年齢を限定すると保険料が安くなります。

年齢条件の選択肢は保険会社によって異なりますが、一般的には以下の通りです。

  • 年齢を問わず補償
  • 21歳以上補償
  • 26歳以上補償
  • 30歳以上補償
  • 35歳以上補償

また、任意保険の補償が適用される運転者の範囲を「本人・配偶者限定」「本人限定」にすると、保険料が割安になります。

他にも、運転免許証の色(ゴールド、ブルー、グリーン)や車の使用目的などで任意保険の保険料は変わります。

自動車保険に付けられる主な特約

自動車保険には、さまざまな特約を付けて補償を手厚くすることができます。任意の自動車保険に付帯できる特約の例は、以下の通りです。

  • 弁護士費用特約:損賠賠償請求を弁護士に委任する際の費用を補償する特約
  • 対物全損時修理差額費用特約:相手の車の修理費が時価額を超えたため、超過分を負担したときに一定金額までを補償する特約
  • 地震・噴火・津波車両全損時一時金特約:地震、津波、噴火によって契約の車両が損害を負ったときの補償
  • ファミリーバイク特約:記名被保険者やその配偶者などが原動機付⾃転⾞を使⽤中に⽣じた事故による損害を補償する特約
  • 他車運転特約:他人の車を借りて運転をしたときの事故による損害を補償する特約
  • 個人賠償責任特約:日常生活で起こった事故による損害賠償責任を補償する特約

保険会社によって、特約の名称や補償内容、選択肢が異なります。

特約を付けすぎると、保険料が高くなり、家計にとって負担となるかもしれません。車の利用目的や運転の頻度、運転技術などをもとに、必要な特約を選ぶことが大切です。

代理店型とダイレクト型の特徴

任意の自動車保険には、代理店型とダイレクト型の2種類があります。自動車保険に加入する際は、それぞれの特徴を理解し、自分に合った方を選ぶことが重要です。

代理店型自動車保険の特徴

代理店型自動車保険は、カーディーラーや整備工場などの保険代理店を通じて契約する自動車保険です。

代理店型自動車保険であれば、契約内容や仕組みを対面で説明してもらえるだけでなく、不明点や疑問点をその場で質問して解消することができます。

そのため、保険の知識に自信のない方でも安心して加入手続きを進めやすいといえます。

また、交通事故に遭った際に、代理店の担当者に連絡をすると取り次いでもらうことも可能です。

その一方で、代理店型自動車保険の保険料は割高な傾向にあります。補償内容や契約車両などが同じである場合、基本的にダイレクト型自動車保険よりも保険料は高くなります。

ダイレクト型自動車保険の特徴

ダイレクト型自動車保険は、インターネットや電話を通じて契約する自動車保険です。代理店を介さないため、保険料が割安になるのが最大の特徴です。

また、パソコンやスマートフォンなどから保険料の見積もりや契約の申込みができます。空いた時間を活用して手軽に見積もりや申し込みがしやすいといえます。

事故を起こしたときの受付は、24時間365日対応しているのが一般的です。レッカー移動やロードサービスの手配などの初期対応を、迅速に行ってくれる保険会社も多数あります。

ダイレクト型自動車保険のデメリットとしては、契約時や事故対応時に担当者のサポートを受けられない点が挙げられます。

電話やメールなどで質問はできるものの、基本的には自分自身で補償を選んで契約しなければなりません。事故を起こしたときは、保険会社と直接やりとりをすることになります。

ここまで、自動車保険の種類や任意保険の主な補償内容、代理店型とダイレクト型の違いなどを解説しました。

自動車を所有している場合は、自賠責保険だけでなく、適切に補償を選んだ任意保険に加入し、万が一の事故に備えておくことが大切です。


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